格闘家の減量方法は?一般のダイエットとの違い

格闘家の減量というとボクシング漫画「あしたのジョー」や「はじめの一歩」などにあるような辛いものをイメージするのではないでしょうか。

勿論、簡単でも楽でもありませんでした。
なにしろリミットまで減量してから試合を行うのですから、試合で勝てるように体調を整えながらの減量は、相手と戦う前に自分との戦いに勝つ必要があります。

この「試合で勝てるように体調を整えながら」がポイントですね。
これこそが一般的な「ダイエット」と一線を画するところです。
はっきり言ってコンセプトが真逆です。

一般的なダイエットの最終的な目的は、「痩せて尚且つその体重を維持すること」ですよね。
格闘家の減量は違います。早く元に戻りたいのです。

どういうことかと言いますと、試合の前日が計量になるのですが、計量にパスしてしまえば翌日の試合までは何を食べても良いのです。
つまり試合当日の体重がリミットを超えていようが構わないのです。

試合当日と前日の計量時との体重差が7 キロなんて例もあります。
ちょっと極端な例ですけどね。
普通でも3キロは戻ります。

1 日で3 キロ戻ると言うと、結構驚かれますが、早く元に戻る為の減量をしているのですから当然なんです。
ではその減量法なんですが、これは「メタボ解消 ダイエット」ではありませんので、知識として知っておいて下さい。

例えば、私は試合の2か月前から減量に入っていました。
その2 か月で減らす量は13キロです。
72 キロから58.9 キロまでの減量です。

とはいえ13 キロの内の最後の約3キロはほぼ水分のカットによるものです。ここだけ見ると、「あしたのジョー」の世界に思えるかも知れませんね。

でも違います。最初の10キロを減らしている最中は水分は充分に摂取します。
そうしないと代謝が悪くなって、後の減量がスムーズにいかなくなってしまいます。

水分のカットで体重を調節する方法が一番簡単で微調整が効くので、最後の100g 単位の調整は水分カットで行います。
選手の心情としては100g も余計には落としたくないのです。
ですから、計量はほぼ全員がリミットいっぱいでパスすることを目指します。

私の場合は58.9 キロぴったりか、100g アンダーで計量をパスしていました。
試合当日に3キロ戻る分というのは、ほぼこの水分カットによるものです。

因みに、最初の10キロの減量の期間は、「メタボ解消 ダイエット」を使って減らしていました。
それを語る前に、その成功法を発見するに至った「失敗でもあり成功でもあった減量」についてお話します。

失敗でもあり成功でもあった減量法

10 数年前、私がまだ10 代の頃、アマチュアボクサーとして初めて試合をするときのことです。
当時私の普段の体重は60 キロでした。
エントリーしていた階級はバンタム級という階級でアマチュアボクシングのバンタム級のリミットは54 キロ以下でした。(プロのリミットは53.5 キロ)

1 か月で6キロの減量計画を立てましたが、何せ初めての減量でしたのでやり方が分かりませんでした。
減量というとボクシング漫画の減量シーンでの辛そうなものしか思い浮かばず、とりあえずその通りにやってみました。

試合前の練習っていうのは当然普段の練習よりも激しいものになるのですが、減量初期の頃から食事制限と水分摂取を控えて減量していました。

今思えば、1 か月で6キロという減量の幅はそんなにキツイものではなにのですが、このときはかなり辛かったのをよく覚えています。

それでも、なんとか計量までにリミットまで落とすことが出来ました。しかし、計画通りに上手に出来たわけではなく実は当日の朝、まだリミットまで1 キロくらいあったので、サウナに行って無理やり落とした感じでしたね。

このサウナが良くなかったのか、最初からやり方が悪かったのか、多分その両方だと思いますが、計量の会場に行く直前、ドクターチェックを受ける為、会場とは別のところにある医院に行きドクターチェックを受けると、不整脈が出てしまい試合の許可がおりませんでした。

さんざんキツイ練習をしてきても、ここでドクターの許可が降りなければ試合はおろか、計量にさえ行かせてもらえません。
未成年のアマチュアボクシングはここのところがとても厳しくドクターはめちゃくちゃ頑固なジジイだったので、こちらの嘆願もむなしく帰らされました。

かなり悔しかったですね。
試合前に実践練習のスパーリングを手伝ってくれた同僚や先輩たちに合わす顔がなかったです。
その数カ月後、仕切り直しでアマチュアのデビュー戦に向けて再び減量を開始しました。
今度はカロリーの計算などをして、きっちり食事制限をしての減量に切り替えました。

それが結構面倒で、イマイチ良くわからないことも多かったのですが、今度は当日にサウナを使うことなく、ドクターチェックも計量もパスできました。

試合にも無事に勝つことができたのですがどうも減量のコツみたいなものは掴めずにいました。
そこで先輩たちに聞いてまわると、皆、それぞれが違う方法で減量していました。

結局どれが良いのか分からず、海外のボクサーたちの減量法なんかも調べましたが、外人は先輩たちより破天荒でした。

例えば、「計量2日前から絶食で練習をして6 キロ落とすね。」とか言っていました。
それ間に合わなかったらどうするのっ!

ダメだ、外人のマネはやめよう、そんなんじゃ戦えなくなっちゃうよ。と、外人の方法は断念し、色々な試行錯誤の上減量法を構築しました。

しかしある日、あることに気づきました。
計量から24時間後くらいに試合が始まるのですが、その時、リング上で対峙する相手の体が皆私より大きいのです。
前日の計量の時に顔を合わせているので、相手の体つきなどは分かっています。勿論、1日経って少しは体重が戻っているのも当然です。

しかし皆、私よりも体が大きく見えました。
前日、同じリミットで計量をパスしているのですからそこから戻る体重の幅はそんなに変わらないのではないか?
そう思っていました。

そこで気がついたのです。
私と私以外のボクサーには明らかな違いがあることに。

相手の体が大きく見えたのは、計量後から試合までの24時間で、私よりも体重の戻りが大きかったことに他なりません。
何故この様な事が起きるのか?
それは減量の方法に決定的な違いがあったのです。

私の方法ですと、2 か月という減量の期間中、緩やかに体重は減っていきます。停滞期もほとんどありません。
しかし、私以外のボクサーのやっていた方法は、先に述べた外人の方法に近いことをやっている者が多かったのです。
前日、もしくはその前日くらいから一気に落とす方法です。

私はその方法で、もし計量までに落としきれなかったらの場合を考えて、2 か月前から緩やかに減らしていく方法こそが安全だと思っていました。今もその考えに間違いはないと思っていますが、格闘技の試合前の減量方法としては一点だけ、その方法に劣るところがあります。

それは筋肉量の維持です。
私の方法でゆっくり体重を落としていくと、筋肉の量も緩やかに落ちていきます。これを完全に防ぐ方法はありません。
当時の私の筋肉量はその階級としては有り過ぎていましたので筋肉量を落とさずにはリミットにはなりませんでした。

しかし、試合の直前まで普段の体重で過ごし、一気に体重を落とす方法の場合、私の方法に比べて筋肉量の低下も少なく済みます。
もちろん、リミットまで落とせなかったという事例もありますが、計量にパスしてしまえば、水分カットで一時的に減らした体重は再び水分を摂取すれば簡単に元に戻ります。筋肉量の低下もほとんどありません。

私の方法で緩やかに減量すると、落ちた筋肉はなかなか元に戻らない仕上がりになるのです。
しかし脂肪分は確実に私の方が減らせていました。
試合の時は普段練習している状態に近い方が、本来の実力を発揮できると思います。

そういう意味で、私の方法は格闘家の減量法としては失敗で、一般の方の減量法としては成功なのではないかと思ったのです。
そこで、実験してみました。

ある試合の時、私の方法ではなく直前に一気に落とす方法で減量してみました。さすがに減量幅13キロの全てを直前に落とすのは無理なので、残り4キロを直前に水分カットで落としてみました。

すると、試合当日の体重は直前で落とした分の4 キロがほぼ全部戻っていました。
体つきもこれまでで一番大きかったのをよく覚えています。

とはいえ、毎回直前で4 キロを毎回一気に落とすのは不安でしたので、いままでの方法と合わせての減量法にアレンジして何度か試してみました。
これは一挙両得な感じで仕上がりも良く、後輩達からも指導を仰がれるものでした。

ちなみに、私の友人のアメリカ人の総合格闘家の減量はこの水分カットのみの減量で、直前で6 キロ減らしていました。
普段の体重が90キロくらいある選手でした。

その方法を聞くと、海外などでの試合の場合は、宿泊しているホテルの浴室を蒸し風呂のような状態にして(バスタブに熱湯を溜め、さらにお湯を出しっぱなし)サウナスーツを着込んでひたすらシャドーボクシングをするのだそうです。

実際に6キロを1 日半くらいで減らしてきて計量の会場に現れたときは、干物のようになっていましたが、試合当日、完全に元に戻って元気になって無茶苦茶に強かったです。
これには流石にビックリしました。

もうひとつ、これは減量という作業過程での話ではないのですが水分カットの方法が最も早く減るという、もう一つの例は20年数前の海外でのボクシングの重量級の試合です。

その当時は現在と違って、タイトルマッチが15R 制でした。(現在は12R 制)
その時のチャンピオンの体重が、試合の前後で6 キロの差があったというのです。
15R フルに戦ったので、約1時間の試合でのことです。

重量級だったということは理由として大きいのですが、1時間で6キロ分も汗が出るものなのかと、ビックリしました。

ちなみにこのブログでお伝えするのは私が当初行っていた、緩やかに減量する元に戻りづらい方法ですので、安心してくださいね。

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