語呂合わせを利用した記憶術、ニーモニックとは?

日本には昔から暗記をする時に使う「覚え歌」と呼ばれている記憶術があります。
「語呂合わせ」とも言います。

この覚え歌や語呂合わせの様な記憶術は世界中で誰もが考え出す様で、英語圏では同じ記憶術を「ニーモニック」と呼んでいます。

ちなみにニーモニックという言葉はコンピュータのプログラミングをする、ソフトウェア技術者の間でもよく使われます。
実際にコンピュータにプログラムを実行させているのは「機械語」と呼ばれる数字の羅列なのですが、そのままでは覚え難くプログラミングし難いので、それを覚え易い記憶記号に置き換えてプログラムを作ります。

この記憶記号がニーモニックです。
ニーモニックで書かれたプログラムをコンピュータに読み込ませる時は、「アセンブラ」と呼ばれるプログラムがそれを今度はコンピュータが読める機械語に翻訳します。

ニーモニックを使うと脳のメモリーバンク内の情報をキープし易くなり、結果として記憶力がアップします。中にはおぼえるのがそう簡単でないものもありますが、多くのニーモニックはきちんと効果があることが立証されています。

人の名前などを覚える際はこの方法を用いると集中出来、よりたくさん記憶出来る様になります。

ニーモニックは意味の無い数字の羅列の様なものを記憶する時に特に効果があります。
例えば私達が必ず学校で習うものに「円周率」があります。
円周率は通常は「3.14」と覚えていますが、この円周率は割り切れない数字なので実際は延々と数字が続きます。

それをおぼえるのに例えば次の様なニーモニックが使われます。

これで小数点以下20 桁ですがこのニーモニックには発展形があり、最大では小数点以下1,000 桁までおぼえることが出来るそうです。

円周率と言えば「ゆとり教育」で盛んに取り上げられましたね。
このゆとり教育とは2002 年から文部科学省が実施した新しい子供の教育指導方針でしたが、その後この方針によって日本の子供の学力が低下しているということが大問題になりました。

ゆとり教育では様々な教育の基準が簡素化されましたが、その中で従来「3.14」とおぼえていた円周率は「3」とおぼえれば良いとされました。

ゆとり教育は2009 年に理数系の授業時間が増加したのを皮切りに現在は実質的に廃止されていますが、この円周率を「3」としたことは、ゆとり教育を批判する人達のシンボル的な攻撃材料となっています。

ゆとり教育そのものについては功罪があり一概に批判ばかりは出来ないのですが、円周率が3 で良いとしたのは明らかに行き過ぎだと思います。

こういうことをすると他に良い部分がたくさんあっても「一時が万事」の一言で、全て帳消しにされてしまいますね。

余談はさておきニーモニックは数字を記憶する時以外にもいろいろ用いられています。

例えば受験生に昔から親しまれているのは、元素記号を覚える時の
「水兵リーベ僕のお船(H・He・Li・Be,B・C・N・O・F・Ne)・・・・・」
ですね。

このニーモニックは詩の様なスタイルになっていますが、この様に「韻(いん)」を踏んでいると言葉の調子が良いので、とても覚え易くなります。

この様な韻を踏んだニーモニックは英語でもあります。

アメリカの小学校では先生が「I before E, except after C (C の後を除いてI はE の前)と教えます。

これはスペルの規則性を教えるものです。
例えば「Friend(友達)」、「Science(科学)」など、英語にはI がEの前にあるスペルが多いですね。

でも「Receive(受ける)」などの場合はE がC の後になっています。
それを先生は「C の後を除いては・・・・・」と教えているのです。

この様に教えれば子供でもおぼえ易く、単語の関連付けもし易くなります。

「I before E, except after C」を大きな声で言ってみてください。
とても言葉の調子も良いのが分かります。
これはニーモニックの基本に忠実に韻を踏んで作られているからです。

ニーモニックを作る時は5 と7 を基本とします。
この5 語と7 語から成る言葉はとてもひびきが良いので、俳句や短歌(和歌)、中国の漢詩などの基本になっています。

俳句は「5、7、5」、「短歌(和歌)は「5、7、5、7、7」、漢詩は「五言絶句」又は「七言絶句」と言って、漢字五語か七語で出来ています。

次の漢詩は七言絶句の漢詩です。

朝辞白帝彩雲間  朝に辞す白帝彩雲の間
千里江陵一日還  千里の江陵一日にして還る
両岸猿声啼不住  両岸の猿声啼いて住まざるに
軽舟已過萬重山  軽舟已に過ぐ萬重の山

有名な漢詩で日本の学校の教科書などにも出て来ますので、皆さんも多分何処かでお聞きになったことがあるのではないでしょうか?
ニーモニックは言葉だけでなく絵やイメージを言葉に組み込む方法もあります。

特に子供に話をする際にこれを用いると理解が早いと言われています。

少し意味が分かり難いかも知れませんが、例えば子供に12 月までの月を覚えさせるのに、1 月は「雪だるま」、8 月は「海水浴」などの絵を組み合わせて覚えさせたり、お母さんが替え歌(遊び歌)を作って歌として覚えさせるという様な方法です。

子供はこれが得意ですぐに自分のものにしてしまいます。
テレビの子供番組などでもよくこの方法を使っていますし、幼稚園の先生、保育園の保母さん、それに小さな子供を持つお母さんもこの方法を使って、子供にいろいろなことを教えている人は多いですね。

この絵やイメージと結び付けて記憶する方法は子供の教育だけでなく、受験勉強にも効果があると言われています。
その為に必要な教材なども開発されています。

絵やイメージを使うニーモニックの応用として、全ての情報を部屋など自分のいる環境に関連付ける「場所法」というのもあり、これは人前で暗記してスピーチをする際などに役立ちます。

スピーチのストーリーを今見ている景色と結び付けることで、覚え易くするのです。

自分の指にそれぞれの事柄を当てはめる「片手指法」や「両手指法」も場所法のひとつです。

ニーモニックは声を出して唱えることでより覚え易くなります。
口の中でボソボソと言っていたのでは駄目です。
大きな声でそれも大勢で唱和するのが一番効果が上がります。

あなたは小学校で九九の公式を習う時に皆で大きな声で「ににんがし(2×2=4)」、「にさんがろく(2×3=6)」という様に唱和したと思います。
あれはそうすることが一番よく覚えることを先生が知っているので、皆で大きな声で唱和する様に指導しているのです。

又、この時唱和する「ににんがし(2×2=4)」、「にさんがろく(2×3=6)」などの公式は、声に出してみるとリズム感があってとても調子がいいですね。

九九の公式を考えた人は多分覚え歌(ニーモニック)を意識して作ったのだと思います。

ところで暗記が記憶とほぼ同一のものだということはご存知ですね?
この暗記の中に「メタ暗記」と呼ばれるものがあります。

記憶というのはどの様な方法を使っても完璧に記憶することは難しく、必ず記憶の一部が欠落します。
その場合、どこが記憶されていてどこが欠落しているのかを知るのがメタ記憶です。
このメタ記憶が鍛えられている人というのは自分の記憶の欠陥部分が分かりますので、それをすぐに補うことが出来ます。

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