うつ病患者に上手にアドバイス・援助する方法

直そうとするな、分かろうとせよ」が原則なので、基本的にはうつ病が良くなるためのアドバイスは、家族はしない方がいいです。

しかし、患者さんがかなり回復してきて、多少の無理がききそうになったりした場合には、あなたの方から少しだけアドバイスをして差し上げてもいいでしょう。
もちろん、患者さんがどのような状態であっても、医師やカウンセラーから「こういうことを患者さんに勧めてあげてください」と言われた場合には、それを勧めてあげましょう。

たとえば、病院に行くとか、指示されたとおりに薬を飲むとかいうのは、うつ病の治療には必要不可欠です。

そこで、すでに学んだような共感的な関わり方をしながらも、「病院に行こう」「指示されたとおりに薬を飲もう」と提案する必要があります。

外に連れ出す

家にずっと引きこもっていると、体力も落ちてくるし、どんどん世界が狭くなっていって、ますます否定的なことを延々と考え続けることになります。

ですから、時々でも外に出て、「自分のこころ」以外の世界に触れてもらうのは良いことです。日光はうつ病に効果があると言われていますし。

そこで、患者さんの調子がいいときには、散歩や買い物に誘い出すのもいいでしょうね。
ただし、うつ病というのは心の疲労骨折みたいなものです。外に連れ出すのは骨折だとリハビリに当ります。

ですから、充分回復していないうちに無理やり引っ張り出すと、かえって病状を悪化させます。
一番いいのは、患者さんの主治医や担当カウンセラーに、こういうことをやりたいんだけれども、本当にやっていいかどうか、そして、家族として他にできることがあるかどうか、率直に尋ねてみることですね。

新しい考え方

うつ病の患者さんは、物事を極端に、そして否定的に捉える癖がついています。

うつ病治療で効果を上げている「認知療法」では、その物事の受け取り方、考え方の癖を見つけ、少しずつ自分に優しい受け取り方、考え方に修正していきます。

本格的な認知療法は専門家によって行なわれますが、患者さんが陥りがちな「考え方の癖」を知っておくことは、家族にとっても助けになるでしょう。
患者さんが、思わぬ反応をしたときに、「ああ、うつ病特有のとらえ方なんだな。これは当然の反応なんだ」と思えて、少し冷静に対応できるからです。

また、うつ病特有の考え方の癖が分かっていれば、「こういう風に考えてみたらどう?」と、新しいものの見方を提案することもできますね。

アドバイスの仕方

繰り返しになりますが、アドバイスは、決して押しつけがましくならないように注意しましょう。外出にしても、新しい考え方にしても、無理にやらせようとしてはいけません。

うつ病の患者さんは、基本的に人に気を遣いすぎる性格の人が多いので、本当はつらくても、他人のアドバイスを受け入れてしまう場合があります。それは、ますます患者さんを苦しめることになりますね。

「提案」モードで

以前
③やってみたら? ……提案モード1
④やってみたらいいと思うんだけど、どう? ……提案モード2
というのを紹介しました。

患者さんのためのアドバイスは、このような提案モードを使うといいのです。要するに、「こちらは提案するだけで、それを採用するかどうかはあなたの自由ですよ」というスタンスです。

「私はそうしたらいいと思うけど、あなたがいやなら無理強いしないよ」という思いをこめて提案しましょうね。

買い物や散歩などのように、あなたも一緒に行動する場合には、
②やってみようよ。 ……お誘いモード
もいいですね。

たとえば、
「最近、気分も良さそうだし、よかったら一緒に買い物に行こうよ」
「Aさんは『あんたなんかいるだけで迷惑だ』って言ったわけじゃないし、いつもあなたの体調を気にかけてくれるんでしょう? だから、あの一言は、あなたのことを大切に思っての一言だと私は思うんだけど、どう思う?」

このように、「よかったら~しましょう」「どう?」というふうに、患者さんが拒否できる雰囲気を作ることが大切です。
そのためには、あえて「お願い」をしてみるのも手です。

「最近、気分も良さそうだし、よかったら一緒に買い物に行ってくれない?」
というふうに。

「提案」が拒否されとき

このように、患者さんが拒否できる雰囲気を作って提案すれば、当然提案を拒否されることもあります。

もしそのとき、あなたがさらに提案し続けたくなったり、「せっかく言ってやったのに」とカチンときたら、ちょっとストップ!
それは、「患者さんのため」ではなく、「あなたのため」の提案だという証拠です。

もしも患者さんのための提案なら、患者さんが拒否したときに、「そっか。じゃあ、気が向いたらね」と、引き下がることができるはずです。引き下がれないということは、あなたの中に「どうしてもこの提案を受け入れてもらわないと困る」という思いがあるってことです。

間違えないでくださいね。それが悪いと言っているのではありません。
もしも、あなたが困っているのであれば、「提案」ではなく「お願い」をしなければならない、ということなんです。

先ほど申し上げたように、困っていることとその理由、そして相手にして欲しいことを明確にして、お願いをしましょう。

援助したいときの質問

ここでは、あなたが患者さんに何かをしてあげたいと思ったときの言い方を学びます。

基本は、「相手に尋ねる」ということです。

患者さんのために何かをしてあげたいと思ったとき、まずは患者さんに、それをしてもいいかどうか尋ねましょう。

あなたは、誰かから「よけいなお世話」を焼かれたことがありませんか? その人は、別にあなたに嫌がらせをするつもりで、よけいなお世話を焼いたわけではありません。あくまでも「あなたのために」それをしたのです。でも、結果的にあなたの迷惑になってしまった……。

もしかしたら、「患者さんのため」のあなたの行為も、患者さんにとってはつらかったり、苦しかったりするかも知れません。特に、うつ病の患者さんというのは、あなたが思いもよらない受け取り方をするものですからね。
そして、あなたの好意がうれしいか、迷惑かを決めるのは、あなたではなくて患者さんです。

ですから、患者さんに尋ねるのです。たとえば……
「カーテン、あけさせてもらってもいい?」
「今日はつらいようだけど、学校休むって連絡しようか?」
というふうに。

押しつけ調にならないように

その際、「あなたのためよ」というような言い方で、押しつけないよう注意してくださいね。

うつ病の患者さんは、Noを言えないタイプの人が多いので、「あなたのため」と言われると、本当は嫌だと思っていても、その好意を受け入れてしまうことがあります。

「あなたのため」ではなく「私が勝手にそうしたいと思ったんだ」という思いをこめて尋ねましょう。

お勧めのニュアンスとしては、「あなたのために、してあげる」という援助ではなく、「私のために、させて欲しい」というお願い、ですね。

何をしてあげたらいいか分からないとき

つらそうだけど、何をしてあげたらいいか分からない……。そんなときは、患者さんに尋ねてみましょう。
「何かできることはない?」
「何か、私にして欲しいことある?」
っていうふうに。

何かして欲しいと言われたら

もしも、患者さんから何かリクエストがあって、あなたがそれをしてあげたいと思うなら、してあげてください。
「殺してくれ」などの、やりたくもないようなことや、やりたくても実行不可能なことなら、もちろん断ってもいいですよ。

「ない」と言われたら。

その場合には、あまりしつこくしないで、いったん引き下がりましょう。
好意を無視されるのは気持ちのいいものではないかも知れませんが、「せっかく声をかけてやったのに」とか、「じゃあ、いい。自分で何とかすれば」なんて、ふてくされた態度をとるのは良くありませんね。

引き下がるときに、「そう。じゃあ、何かあったら遠慮なく言ってね」と、いつでも声をかけて欲しいということを伝えましょう。

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